魯迅と東北大学-歴史のなかの留学生 | 東北大学史料館 魯迅記念展示室

藤野先生

  「藤野先生」こと藤野厳九郎(ふじの げんくろう)は、福井県出身の解剖学者で周樹人が入学した当時は30歳。ちょうど教授になったばかり。解剖学は一年生の必修科目で、藤野先生の授業は週4時間受講することとなっていた。

 

    「私の講義は、筆記できますか」と彼は尋ねた。
    「少しできます」
    「持ってきて見せなさい」

 

  私は筆記したノートを差出した。彼は、受け取って、一、二日してから返してくれた。そして、今後毎週持ってきてみせるように、と言った。持ち帰って開いてみたとき、私はびっくりした。そして同時に、ある種の不安と感激とに襲われた。私のノートは、はじめから終わりまで、全部朱筆で添削してあった。(「藤野先生」より)


藤野厳九郎教授 1874年(明治7)福井県に生まれ、愛知医学校卒業後同校の教員を経て、1901年(明治34)10月に仙台医専の解剖学担当講師として仙台医専に招かれ赴任した。 藤野厳九郎教授 1874年(明治7)福井県に生まれ、愛知医学校卒業後同校の教員を経て、1901年(明治34)10月に仙台医専の解剖学担当講師として仙台医専に招かれ赴任した。
藤野教授研究室(『仙台医学専門学校在学紀念写真帖』より)
藤野教授研究室
(『仙台医学専門学校在学紀念写真帖』より)
藤野先生が添削した魯迅のノート(複製) 原資料は魯迅博物館(北京)所蔵.

藤野先生が添削した魯迅のノート(複製) 
原資料は魯迅博物館(北京)所蔵.
藤野教授の「脈管学(みゃくかんがく)」の講義。