魯迅と東北大学-歴史のなかの留学生 | 東北大学史料館 魯迅記念展示室

学都仙台留学生小史

  魯迅=周樹人の仙台留学は、仙台における「留学生」の歴史のはじまりでもある。1904年に魯迅が入学した時2人にすぎなかった仙台の留学生の数は、その後急速に増え、1911年頃には60人を越えていた。その後若干数は減ったが、1942年(昭和17)までの統計で、合計630人以上の留学生が仙台の学校で学んでいる。そのほとんどは中国・朝鮮半島・台湾といった東アジア地域の留学生で、特に中国からの留学生は全体の三分の二近くを占めていた。
  このうち「東北帝国大学」に学んだ留学生はおよそ360人。日本人同様の「門戸開放」方針を留学生にも適用した結果、東北帝大には他の大学に比べ多様なキャリアを持つ留学生が入学し、少数ながら女性の留学生もいた。卒業生のなかには、中国現代数学の開拓者として有名な陳建功・蘇歩青など、優れた功績を残した人たちも多い。
仙台日華学友会会章(せんだいにっかがくゆうかいかいしょう)1913年2月/二高・仙台医専等の留学生と日本人学生34名結成した、在仙日中学生の親睦組織。 仙台日華学友会会章(せんだいにっかがくゆうかいかいしょう)
1913年2月/二高・仙台医専等の留学生と日本人学生34名結成した、在仙日中学生の親睦組織。

蘇歩青(そ ほせい/ス ブチン)(1902-2003、留学期間:1924-1931) 蘇歩青(そ ほせい/ス ブチン)(1902-2003、留学期間:1924-1931)
中国を代表する数学者。1924年、東北帝国大学理学部の数学科に入学。卒業後は、東北帝国大学構内に併設された「第三臨時教員養成所」の講師となり、1931年に、微分幾何学の研究で学位を取得した。その後帰国して浙江大学教授・上海復旦大学の教授となり、復旦大学学長もつとめた。

陳建功(ちん けんこう/チェン ジャンゴ)(1893-1971、留学期間:1920-1929) 陳建功(ちん けんこう/チェン ジャンゴ)(1893-1971、留学期間:1920-1929)
蘇歩青とともに中国現代数学の開拓者として活躍した数学者。1920年、東北帝国大学理学部に数学科に入学。1929年に、三角級数論の研究で博士号を取得、日本の大学における最初の外国人理学博士となった。帰国後浙江大学・復旦大学教授、杭州大学副学長をつとめる。

陶晶孫(1897-1952)文学者・医学者 本名陶熾(とう し)。 陶晶孫(とうしょうそん/タオ ジンソン)(1897-1952、留学期間:1923-1928)
本名陶熾(とうし)。文学者・医学者。
九州帝国大学医学部卒業後、東北帝国大学理学部に入学。魯迅に続く世代の文学者として郭沫若・郁達夫らとともに活動し、東北帝大在学中にも多くの文学作品を発表している。本学交響楽団草創期の常任指揮者でもあり、戦後は台湾大学教授を経て再来日、日本を深く理解する中国知識人としてよく知られた。